博物館情報学研究会

研究会に参加してきましたー.

 システムの紹介というか,事例の紹介というか.そういった内容が多く,もう少し深いところで議論がしたかった.つまり,知識の交換をしたり,属人化を防ぐためにシステムはどうサポートしていくべきなのかといった辺り.



東京国立博物館「博物館情報学研究会」のご案内
http://webarchives.tnm.jp/archives/info/2
日時
 2007年8月29日(水) 13:30~16:30 (会場受付は13:00から)
会場
 東京国立博物館 平成館小講堂
報告者
 *横溝廣子 氏(東京藝術大学大学美術館准教授)
 *井上卓朗 氏(日本郵政公社郵政資料館資料専門員)
 *村田良二(東京国立博物館情報課研究員)
各機関の所蔵品データベースの構築と利用に関する報告と、全体的な意見交換を行います。




以下,所感.

 知識交換や知識の属人化を防ぐ一つの解として,業務と連動して博物館情報を蓄積できる仕組みを作ることはアリだと思う.

 ここで言う博物館情報とは2つの側面を持つ.1つは収蔵品そのものを対象とした歴史研究要素の強い情報(研究メタデータ),もう1つは展示会による収蔵品の貸し借りや,寄贈・寄託を含む受入,盗難や組織改変に伴う移動等,業務に根ざした動的な情報(業務メタデータ).

 前者は作るのに時間も手間もかかる.それに対して後者は比較的簡単に作れて,しかもすぐに,いろんな場所で使われることが見込まれる情報だ.

 システムはまず後者をサポートし,基礎的な業務知識の交換が可能な状態を作る必要がある.これがたまってくると知識の属人化を防ぐことができるし,業務も効率的になっていくはずだ.そうなると,今度は研究メタデータを作る時間ができる.研究メタデータが増えてくると,今度は業務における重要な意思決定の基礎データとしても活用できるようになる(本当に受け入れてもいいモノか,本当に破棄してもいいモノか,等々).

 この状態を実現するには,所謂モノのID付けが非常に大事になってくる.モノは必ずしも1つではないので(グループで1つだったり,もとは1つだったものが分かれたり,パターンはいろいろ),IDを簡潔にかつ階層的に付与する方法が重要になってくるだろう.この基本的な考え方は情報のライフサイクルやコンテンツ管理に近いところがあるかもしれない.

 日本の場合,学芸員の分業がまったくなされていないので,学芸員にかかる負担は相当なものだ.結果,データの整備が遅々として進まないという事態を招く.業務支援をしつつデータも整備できる仕組みの確立は急務だろう.