LOUVRE-DNP MUSEUM LAB

先日,大日本印刷のLOUVRE-DNP MUSEUM LABに行って来ました.


Museum Labは,"Lab"の名が示す通り,ルーブル美術館が持つ様々な美術作品を,大日本印刷の印刷技術/情報技術を用いることで新しい展示や美術体験に応用して行く方法論を模索することを目的としたラボです.

ラボでは当面,2006年から3年間で6つの作品テーマの展示を行う予定だそうで,今回は第4回目のテーマを見て来ました(実はとある委員会の招待で3回目の展覧会も見たのですが,まだここに書いていません.もう忘れ気味...).


この展覧会では,以下3点の技術的取り組みをしています.

  • メディアシオン・ツールとしての地図
  • 体験のさらなる共有化を実現するマルチタッチディスプレイ
  • AR技術の活用により,作品の鑑賞ポイントを分かりやすく

1つ目の地図は,リアプロ,あるいは液晶ディスプレイを用いて大きく高精細な地図の表現をしています.地図は情報の俯瞰,直観的理解に役立つツールとして採用されたそうです.また,メディアシオンとは,フランス語で「媒介」を意味し,作品と人をつなぐツール全般を意味しているそうです.

2つ目のマルチタッチディスプレイは,上記のディスプレイとアクリルで作られた立体地図,更に光センサを組み合わせたインタラクティブな地図です.立体地図を指で触れると,センサが感知し,ディスプレイに情報が表示される仕組みになっています.

3つ目のAR(Augmented Reality:拡張現実)技術とは,目の前にある対象物とコンピュータ上のバーチャル空間を同期させ,目の前の物に関する情報を取得したり,物をバーチャル空間上で動かすことのできる技術です.今回は,目玉の展示品の前に既に同期済の(多分独自開発の)AR端末が置かれており,端末を手で動かすと展示品を様々な角度で閲覧できたり,様々な情報が取得できるようになっていました.また,AR端末にはカメラボタンが付いており,気に入った角度で写真を撮れるようになっています.写真は帰る際にプリントしてお土産としてもらうことができました^^

以下では,より詳細な技術ポイントを紹介しています.


また,上記以外にも面白かった技術ポイントがありました.

  • ガイダンス端末とICタグ

ガイダンス端末はPDA型で(皮のカバーで覆われていたため,どこのメーカーのものか不明),ICタグ・骨伝導イヤホンと組み合わせて使います.まず,入場時に予め使用言語を登録しておきます.その後,ユーザが作品の前に立つと,ICタグと連動するサーバから自動的に選択された音声ガイダンスが配信され,イヤホンで聞き取れる仕組みになっています.骨伝導イヤホンにしているのは,ガイダンスを聞きながら,一緒に来た来場者と会話ができるようにするためだそうです.

また,ICタグは観覧者の閲覧履歴をサーバに返しているようです.受付で入場券をもらえるのですが,入場券に記載されている番号を帰宅後にWebで確認すると,閲覧記録が見られるようになっています.これの仕組みは科博でも取り入れられていたかと思います.

以下,ryojin3の閲覧記録から.



まずは閲覧記録です.ほとんど全てを見たので,全部記録されています.見た順番も分かるともっとよかったかもしれません.



次はAR端末で撮った写真.実際にプリントしたものももらいましたが,Webでも確認できます.「ラスター彩」の皿が飛び跳ねています^^

今回訪問してみて,DNPでは美術体験として「メディアシオン」という概念を導入していたのは非常に素晴らしい取り組みだと実感しました.文化財は様々な角度から見る,あるいは解説されることよってより一層理解が深まると思います.DNPでは情報技術を用いてこれまでの博物館展示にはないアプローチを展開しているのではないでしょうか.

なお,DNPの担当の方が語る記事が以下にありましたので,ご紹介しておきます.写真も豊富なのでここよりむしろ分かりやすいかと思います(ってそれを言っちゃオシマイですね).

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