昨年12月,じんもんこん2009が立命館大学で開催されました.
じんもんこんとは,情報処理学会人文科学とコンピュータ研究会が主催するシンポジウムで,主に人文科学における情報処理技術全般の研究を対称としています.
今回も残念ながら出席はかないませんでしたが,以下の報告が興味深かったので,少しレポートしてみます.
※以下のレポートはryojin3の理解によるところが大きいので,詳細は予稿集でお確かめ下さい.
一般セッション5-A(12/19)
今回は,資料基盤の基礎となる「資料のデジタル化」に着目し,凸版印刷と共同でガイドラインの提案とその検証を行っています.
デジタル・ヘリテージ(筆者らは文化資源のデジタル化及び利用に関する全般をこう呼んでいます)構築に必要なフェーズ
特に工程Bにおいては,デジタル化に必要な項目を機材別・取得データ別に詳細に項目立てされています.これは,デジタル機器を介して得られるデータからは様々な情報を取得しやすいという状況がある半面,丁寧に取得時の状態を記録しておくことで,後々にデータを再現する必要に迫られた場合,取得当時の状況を限りなく再現可能であるという側面も持ち合わせているのかと思います.
また,工程Cにおける色彩形状評価,工程Dにおける利用・保存を意識したデータ管理,工程Eにおけるメタデータ管理(B〜Dの管理項目をメタデータとして再利用できるよう整理したもの),工程Fにおける利用形態管理,を付与することにより,よりロバストな資料デジタル化工程を確立していると言えます.
今回は提案ガイドラインの評価として,実際に明治期の複数の出版物を統合するデジタル・ヘリテージ構築を行い,ガイドラインが果たした役割と課題を整理しています.
以下に主な役割とその課題についてまとめます.
役割
この研究はデジタル・ヘリテージを構築する際に必要となるメタデータを整理して示し,実際に詳細に記録していくことで利用可能なレベルのヘリテージを構築できる点において素晴らしい研究かと思います.
その半面,筆者らも課題として指摘していますが,都度変化するワークフローへの対応や既にデジタル化されている資料への対応等に対して柔軟なコントロールが要求される部分を包括したガイドラインにブラッシュアップされる必要もあるのかと思います.
また,スキーマを眺めていると気付くのですが,記録されるメタデータは作成当時のスクリーンショットに近く,ある時点の情報を1面,スライスしたように記録しています.今後はこのスクリーンショットを(時間的・空間的な情報を取り入れるという意味で)多面的に記録していくことができれば,よりusefulなガイドラインになるのではないでしょうか.
じんもんこんとは,情報処理学会人文科学とコンピュータ研究会が主催するシンポジウムで,主に人文科学における情報処理技術全般の研究を対称としています.
- 開催日程
- 2009年12月18日(金),19日(土)
- 会場
- 立命館大学 びわこ・くさつキャンパス「エポック立命21」(滋賀県草津市野路東1-1-1)
- 主催
- 共催
- 文部科学省グローバルCOEプログラム
- 『日本文化デジタル・ヒューマニティーズ拠点』(立命館大学)
- 『歴史都市を守る「文化遺産防災学」推進拠点』(立命館大学)
- 後援(50音順)
- プログラム
今回も残念ながら出席はかないませんでしたが,以下の報告が興味深かったので,少しレポートしてみます.
※以下のレポートはryojin3の理解によるところが大きいので,詳細は予稿集でお確かめ下さい.
一般セッション5-A(12/19)
- 文化資源の電子化における記録情報管理を重視したガイドラインの提案とそれに基づくDigital Cultural Heritageの構築
- 研谷紀夫(東京大),北岡タマ子(お茶の水女子大),高橋英一(凸版印刷)
今回は,資料基盤の基礎となる「資料のデジタル化」に着目し,凸版印刷と共同でガイドラインの提案とその検証を行っています.
デジタル・ヘリテージ(筆者らは文化資源のデジタル化及び利用に関する全般をこう呼んでいます)構築に必要なフェーズ
- A. 資料内容調査とデジタル化の計画
- B. デジタル化
- C. 評価
- D. データ管理
- E. メタデータの構成(F,G,Hの後にも生じる)
- F. コンテンツ化&パブリッシング
- G.&H. 学術研究利用+公開
特に工程Bにおいては,デジタル化に必要な項目を機材別・取得データ別に詳細に項目立てされています.これは,デジタル機器を介して得られるデータからは様々な情報を取得しやすいという状況がある半面,丁寧に取得時の状態を記録しておくことで,後々にデータを再現する必要に迫られた場合,取得当時の状況を限りなく再現可能であるという側面も持ち合わせているのかと思います.
また,工程Cにおける色彩形状評価,工程Dにおける利用・保存を意識したデータ管理,工程Eにおけるメタデータ管理(B〜Dの管理項目をメタデータとして再利用できるよう整理したもの),工程Fにおける利用形態管理,を付与することにより,よりロバストな資料デジタル化工程を確立していると言えます.
今回は提案ガイドラインの評価として,実際に明治期の複数の出版物を統合するデジタル・ヘリテージ構築を行い,ガイドラインが果たした役割と課題を整理しています.
以下に主な役割とその課題についてまとめます.
役割
- 必要なデータを集約することで対象ヘリテージへの考察がきちんとした根拠に基づいてできた
- 色彩→複数の出版物・写真・VRコンテンツの差異に対する考察
- 装飾→図・現在の実物・VRコンテンツの差異に対する考察
- 具体的な作成記録が取れたので,今後の再現や同様のヘリテージ構築の参考となる
- デジタル化のワークフローは対象と目的に応じて都度変化するため,それらに対処できるより柔軟なガイドライン活用が必要
- ヘリテージ利用のフィードバック(研究考察等)を柔軟に蓄積・コントロールする仕組みが必要
- 既存のデジタルコンテンツを再利用する際のガイドラインの活用方法の検討
- 時間とコストを軽減するための自動化施策(ソフトウェアによる対応等)の検討
この研究はデジタル・ヘリテージを構築する際に必要となるメタデータを整理して示し,実際に詳細に記録していくことで利用可能なレベルのヘリテージを構築できる点において素晴らしい研究かと思います.
その半面,筆者らも課題として指摘していますが,都度変化するワークフローへの対応や既にデジタル化されている資料への対応等に対して柔軟なコントロールが要求される部分を包括したガイドラインにブラッシュアップされる必要もあるのかと思います.
また,スキーマを眺めていると気付くのですが,記録されるメタデータは作成当時のスクリーンショットに近く,ある時点の情報を1面,スライスしたように記録しています.今後はこのスクリーンショットを(時間的・空間的な情報を取り入れるという意味で)多面的に記録していくことができれば,よりusefulなガイドラインになるのではないでしょうか.
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