ICOM/CIDOCの取り組み(1)

博物館メタデータの標準化は日本を含めた世界各国で進められています.

前回述べたように,「モノを管理するためのデータ資源=メタデータ」を標準化することは博物館業務従事者の作業コストを削減するのみならず,データ資源の品質向上につながります.

特に,近年ではIT化やグローバル化(これらの言葉はやや形骸化している気もしますが)に伴い,世界が狭くなっています.各国間でモノの貸し借りをする際やWeb上でデータのやりとりをする際には,国を超えて標準的な形式で行ったほうが効率的ですし,品質も維持向上しやすいと考えられます.

国際博物館会議(ICOM:The International Council Of Museums)の国際ドキュメンテーション委員会(CIDOC:International Committee for Documentation)は1950年に設立した歴史ある団体で,古くから博物館メタデータの標準について認知,議論をしていました.

以下,CIDOCにおける標準化活動について,時系列に示します.

  • 1978年 博物館における資料同定のための最小限情報
  • 1994年 博物館資料の最小限情報分類勧告
  • 1995年 博物館資料情報のための国際標準CIDOC情報カテゴリ
  • 1998年 CIDOC/CRMの提案

まず,1978年に「博物館における資料同定のための最小限情報」として16項目が提案され,考古学・民俗学分野においてデータセットの有用性が検証されています.

CIDOCはこの考え方を発展させ,1994年には「博物館資料の最小限情報分類勧告」(MICMO:Proposed Guideline for an International Standards: Minimum Information Categories for Museum Objects)を,翌1995年にはMICMOをベースとした「博物館資料情報のための国際標準CIDOC情報カテゴリ」(IGMOI:International Guideline for Museum Object Information: the CIDOC Information Categories)を提案しています.

IGMOIは,以下のサイトで読むことができます.

本家(pdfファイル)
http://cidoc.mediahost.org/guidelines1995.pdf
日本語訳(村田良二氏)
http://ryoji.sakura.ne.jp/museuminfo/guide/guide.htm

参考文献

  • 水嶋英治. "博物館情報学の現状と課題". 博物館情報学入門. E.Orna & Ch.Pettitt編. 勉誠出版, 2003, p.180.
  • 水嶋英治. "博物館・美術館における所蔵資料記述とメタデータ". 図書館目録とメタデータ. 日本図書館情報学研究委員会編. 勉誠出版, 2004, p.170-p.172.
  • 秋元良仁. 文化財メタデータの構築. 映像情報メディア学会誌. Vol.61, No.11, 2007, pp.1578-1581.

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