ICOM/CIDOCの取り組み(2)

CIDOCはIGMOI(前の記事参照)提案と同時に,1995年に「CIDOCリレーショナル・データ・モデル」(CIDOC Relational Data Model)を提案します.このモデルでは,IGMOIのガイドラインをリレーショナル・データベース(RDB)に適用するためのデータ構造が示されています.

そもそもCIDOCがRDBへの対応を考慮した背景には,当時(そして今も)RDBがデータベースの世界で全盛を誇っているからであり,各博物館で実際に利用されているデータベースの大半はRDBで作られているという事実があったからだと思われます.

RDBはデータ集合を表形式で表現し,表を関係付けることで形付けられます.いくつものテーブルが複雑に連携しあい,かつテーブル上のデータが重複する冗長性を避けるよう設計されます.したがって,RDBは最初に行うスキーマ設計(どのフィールド(項目)をどのテーブルで管理するか)が非常に重要になります.

きちんとしたスキーマ設計に基づいてデータベースを構築すると,そのデータベースで扱う範囲においてデータの活用はやりやすくなります.しかし,これは裏を返せば異なるスキーマを持つデータベースとの連携が難しいことを意味します.

そこで,CIDOCは1998年に異なるスキーマを持つデータベース間での情報交換や統合に焦点を当てた「概念参照モデル」(CRM: CIDOC Conceptual Reference Model)を提案します.

CRMとは,一言で言うと「オントロジを用いた情報記述の枠組み」になります.これまでの提案のようにスキーマ設計の指針(具体的なフィールド名等)となるガイドラインとは異なり,文化財に関する基本概念をオントロジを用いて記述するのです.

オントロジとは,これまた一言で言うならば,「分類体系と推論ルール集」になります.世界にあるモノを体系的に分類し,それらの関係性を記述するものがオントロジです.具体的には諸々の書き方がありますが,CRMではRDF/XMLを利用することになります.

ふぅ.

RDF/XMLについてと,CRMの具体的な使い方については次回!

参考文献

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