Europeana徹底解剖

昨年末,公開と同時にアクセス過多で一旦サービスを停止するという事態に陥った欧州デジタル図書館「Europeana」.サービスが再開して2ヶ月近くが経ちました.そろそろシステム的にも利用状況も安定してきたのではないかと思い,ちょっといろいろ調べてみました.今回はそのまとめです.

■経緯
以下は,Current Awareness PortalITMediaCNET Japanから拾って時系列に並べたニュース記事です.網羅的に集めたつもりですが,検索漏れがあるやもしれません^^

2005年
2006年2007年2008年
■協力組織
2009.02.15現在,108機関.まぁこう見ると意外と少なく感じますが,国の代表(National representatives)には各国を代表する図書館等が名を連ねています.
  • Archives 12件
  • Audio-visual collections 7件
  • Cross-domain associations 12件
  • Libraries 14件
  • Museums 11件
  • National representatives 26件
  • Other 2件
  • Project Contributors 12件
  • Research institutions 12件

■言語

ヨーロッパ中心の25ヶ国語にI18Nされています.
  • Catalan
  • Bulgarian (bul)
  • Czech (cze/cse)
  • Danish (dan)
  • Dutch (dut)
  • English (eng)
  • Estonian (est)
  • Finnish (fin)
  • French (fre)
  • German (deu)
  • Greek (ell/gre)
  • Hungarian (hun)
  • Icelandic (ice)
  • Irish (gle)
  • Italian (ita)
  • Latvian (lav)
  • Lithuanian (lit)
  • Norwegian (nor)
  • Polish (pol)
  • Portuguese (por)
  • Romanian (rom)
  • Slovak (slo)
  • Slovenian (slv)
  • Spanish (esp)
  • Swedish (sve/swe)

■機能

  • 検索
検索窓1つのGoogle方式.Advanced searchを選択すると,(「Any fields」,「Title」,「Creator」,「Date」,「Subject」)×3を(AND/OR)で検索できます.
  • My Europeana
登録ユーザの検索結果の保存,タグ付与,友達への紹介,等ができるらしいが,まだ登録も利用もできないようです.
こちらもデモがあるのみ.コンテンツの共有や再利用についてのアイデアを議論する場としてCommunitiesが用意されるようです.デモを見てみると,SNSのような運用を想定しているようです.
下側に作品の多さに比例して大きさの異なる西暦が並び,各西暦をクリックすると上側に作品が出てきます.上側に出てくる作品は横スクロールバーの動きに合わせてブワーっとフローして行きます.iPhoneのマルチタッチに近い動きか.驚いたのは,普通こういうのってFlashで作ると思うんだけど,全部JavaScript!なんとも….まだまだベータ版らしく,左側の検索窓から西暦を入れて検索すると,検索結果の西暦は大きさが変わらなかったりしますが,まぁご愛嬌.
実験的ラボ.大学や研究機関,コンテンツプロバイダと協力し,Europeanaの持つコンテンツを素材に実験的な機能を試していこうというラボです.今のところ,プロトタイプのSemantic Searchが公開されています.MultimediaN N9C Eculture projectThe ClioPatria semantic search web-serverで動いているようです.これについてはEuropeanaのSemantic Searchのインターフェースも含め,別にもっと詳しく調べたいと思っています.

■コンテンツ

  • 概要
Europeanaは検索の窓口です.検索結果のサムネイルはEuropeanaのイメージサーバにキャッシュされているようですが,コンテンツ本体は参加機関のサーバから再生されます.従って,全てのコンテンツに関するコントロールと権利保持は各参加機関で行うことができます.
  • 資料件数
約200万件
  • フォーマット
フィルム,写真,絵画,音楽,地図,原稿,書籍,新聞,etc.
  • 将来的な話
2010年までに現在の200万点から,1000万点アイテムの完全公開を目指すそうです.そのため,実際にEUはデジタル化資金を拠出しています(Current Awareness Portal,2008.12.04).また,今はコンテンツの登録を文化組織に限定していますが,将来的には個人の所蔵等も登録公開できるような仕組みを作って,コンテンツの幅を持たせたいようです(INTERNET Watch,2008.11.21).

■相互運用性
詳細はEuropeana/EDLnet conference: Users expect the interoperableにあります.


■メタデータ

基本的にはQDC(The Qualified Dublin Core)のようですが,一部拡張もされています.詳細な仕様はMetadata elements in the Europeana prototype(pdf)にあります.

拡張エレメント
  • <dc:relation>のサブプロパティとして<europeana:isshownby>
  • <dc:relation>のサブプロパティとして<europeana:isshownat>
  • <europeana:usertag>

■閲覧

せっかくなので実際に有名なコンテンツを見てみました

いやぁ,全然徹底解剖してないけど,疲れちゃった.今日はこれくらいで.次は今回息切れが著しい相互運用性やメタデータ,セマンティック関連を中心に調べたいと思っています.てか,むしろそっちが専門に近いだろうに….

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